赤き薔薇・始動 ~第2章~

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赤き薔薇・始動 ~第2章~

 長が無くなってから紅剡は赫と朱漸を連れてすぐに行動を開始した。
 パワースポットと呼ばれる場所はそこにいるだけで気力が回復出来るとされている……そんな場所だからこそ誰しもが欲しがり、争いが起こる……
 
 各地にパワースポットと呼ばれる場所は何ヵ所かあるがその内の4つが薔薇の一族が遥か昔に手に入れ拠点としてその場所を守り続けていた……

 拠点にはあやかしから守る結界を張っていた為能力を持たない人間をその拠点に集めた。能力の持たない人間は、町や畑を作り能力者を支えていた。

 1つ1つの拠点はかなり離れていたが……紅剡はある場所にあるパワースポットに目を付けた。その場所は4つの拠点に均等に存在し、五芒星を描くのに最適な場所であった。

 五芒星を描ければその中にある土地は結界に守られ、いつでも他の拠点にいける事が出来るからである。なぜ今まで歴代の一族がその場所に手を出さなかったのか?
 それは、そのパワースポットが『あやかし』の拠点に近いからである。それでなくてもあやかしの力は日々強くなっている中、手を出すのは危険と判断しての事であったが紅剡はあえてそこを手に入れようと試みた。

「フッ、ここがそうだな」
「ええ、とても気が満ちています」
「そろそろ出で来きそうですね、近づいています……」
 パワースポットに着いた紅剡が微笑み、それを見た赫と朱漸は頷く。
 赫と朱漸は笑顔を絶やさない、そして敵が近づいているのに物凄く落ち着いている3人。
「そうだな、朱漸片づけてきてくれ。おまえならこの数簡単だろ」
「お任せ下さいませ」
 紅剡の指示に朱漸は一例し、その場から離れた。
「今回は少ないですね100程度でしょうか?」
「そうだな、まぁ朱漸ならあっという間だろ、それよりこっちは結界を張る」
「かしこまりました」
 赫が朱漸の行った方向を見ながら気で敵の数を探りながら呟く、紅剡はお構いなしに前に進んで言った。
 『ギャ~』といういくつもの声が遠くから聞こえる中、紅剡と赫は一番気が出ているであろう大きな木の前に立つ。
「ここですね」
「私はここに張る、赫は周りを張ってくれ。ただし一緒に張る」
「かしこまりました。」
 そういうと赫はかなり先まで歩いていき紅剡からは見えない場所に立つ、目を閉じ集中する……紅剡から合図を感じ取る……

「   赤き薔薇よ」
「主の赤き薔薇よ」
「汝の花びらを天にまといて咲き乱れよ……」
 紅剡と赫は隣に居るかのように同時に呪文を唱える……するとヒラヒラとまるで舞っているように赤い花びらが空から降ってくる…

一方朱漸というと……

「まったくこんなにウジャウジャと来たものですね……そんなに人間が珍しいのですか?」
 笑顔で楽しそうに独り言を言う朱漸。
「こんな所に人間が3人……」
「それにかなりの術者か……美味そうだ……」
 朱漸の前に立ちはだかる二人のあやかしがニヤニヤしながら近づく。
 あやかしにとって人間は食べ物や玩具にしか過ぎない、又能力者であれば普通の人間よりも美味しいとされている……
「まずは1人目か……クックック……」
「はいはい、会話はその辺にして下さい」
 朱漸の後ろから来たあやかしがよだれを垂らしながら笑う。
 そんな状況でも冷静な朱漸は、パンパンと手を叩きながら言う。
「なんだとぉ!!」
「そろそろ結界を張るみたいですね…そうですね~3分で片づけましょう」
「こいつ面白い事を……ギャ~~!!」
 あやかしがしゃべっている間に朱漸は短刀を両手に構え見えない速さであやかしを1人1人倒していく……
「これではきりがないですね……すみませんがいっきに行きますよ!」
「ふざけるな!!」
「紅葉の舞!」
 朱漸が術を唱えながら切り刻んでいく……まるであやかしの血が紅葉の葉がヒラヒラと落ちるかのように舞う……舞い落ちる頃紅剡の術で出たバラが1枚・また1枚と落ちてきた。
「間に合ったようですね」
 その言葉通り100人のあやかしは皆煙となって空に消えていった……結界が張られた事を確認した朱漸は紅剡と赫のいる場所に向う……


「さすがですね」
「終わったのですか」
「はい、結界の中にはもういませんよ」
 あやかしを倒した朱漸は2人に声を掛けると、赫が心配したように話しそれに答えるかのようにいつも笑顔の朱漸の顔がさらに笑顔になる……
「よくやったな2人とも」
「ありがとうございます」
 紅剡の労いに嬉しくなる二人は同時に挨拶をする。
「では、母屋に戻るぞ」
「ところで紅剡様」
「なんだ」
「ここを守る方は誰なのですか?」
「紫姚花だ」
 結界も張り終わった紅剡は母屋に帰ろうと歩き出す、歩きながら朱漸は疑問に思っていた事を尋ねた。
 その言葉を聞いて二人が固まる…最初に口を開いたのは赫だった……
「紅剡様!それは本当でございますか!」
「でも紫姚花は……」
「あれほどの術者はいないのだぞ、使わなくてどうする」
 赫も朱漸も紫姚花の存在は知っていたので警戒をし始めるが、紅剡は凛として2人に振り向く。
「確かにそうですが……拠点を任せるのは……」
「そうです、きっとあの方は裏切ります!」
「もう決めた事だ、あいつをここに連れてくる。行くぞ」
「かしこまりました」
 納得がいかないまま返事をした2人は紅剡についていく……


 来た道を戻っている時だった……
「止まれ!」
紅剡は2人の前に腕を伸ばし止まらせる。
「何かいますね……」
「攻撃してこないみたいですが、いかがなさいますか?」
 朱漸も赫もいたって冷静に紅剡の指示を仰ぐ。
「私が行ってこよう、お前たちは先に行っててくれ」
「それはっ!」
 紅剡が心配で自分が行くと言わんばかりに朱漸が大きな声を上げる。
「これは命令だ……行け!」
「かしこまりました、くれぐれも気をつけて下さいませ」
 納得出来ていない赫だが、紅剡の勢いに負けてしまう。
「私なら大丈夫だ」
「では、のちほど……」
 朱漸は拳を少し握り赫と先に進む。
 紅剡は不安がる2人をよそに、少し先にいる男を見つけた……

 紅剡は心の中で『あれは、あやかしか……違うな……』と呟いた。
「ほぉう……これは、強力な術者じゃのう」
「そういうおまえもな」
「こんな所に人間がおるとは、おまえ死にたいのか?」
 目の前にいる男はあざ笑う。そんな事をちっとも気にしないように坦々と話す紅剡。
「答える気はない」
「気の強い女じゃ、気に入ったのう」
  なんなんだこいつは!カンに触るやつだな…紅剡は目も前の男を不快に思い心の中で呟く。
「混ざりモノがこんな所にいるとはな……」
「さすが薔薇の一族の長、紅剡じゃ」
「なっ!」
 男はニヤッとしながら腕を組み話すと、紅剡はすかさず構える。
「焦ったのか?今日はただ散歩しておっただけじゃ。それではな」
「待て!」
 その言葉を無視して混ざりモノは手を振りその場から消えた。

 紅剡は消えていった男の事をイライラしながらも赫や朱漸の元に戻り母屋に急いだ。